2022年2月2日に迎える松澤宥生誕100周年を祈念し、222日前より本サイトとVR空間にて展覧会を公開制作いたします。
本プロジェクトは、 日本のコンセプチャルアート創始者とも言われている松澤宥の「暗黒星雲計画(DNP)」の軌跡と、未だ開示されていない視点を研究、その史実をまとめながら再解釈、再構築するものです。
1999年2月22日Circulation Artの前身となるParaGLOBEでDNPが行われた時から、Circuration Art は、松澤氏から次の世代に向けた指示書を受け継いできました。
「何処かの時点で開示するように」という氏の遺言に基づき、松澤氏に師事した作家、共に歩んできた作家、志を継ぐ現代の作家たちと共に「CIRCULATION ART/暗黒星雲計画実行委員会」として、半永久的に2222年2月22日まで開催いたします。
展覧会期:2222年2月22日まで
STATEMENT
かつて、松澤宥の膨大な芸術の中に「暗黒星雲計画」という"最終美術"があった。この芸術は日本および世界におけるコンセプチュアル・アートの創始者である巨星が秘儀とした宇宙であった。1960年代の初頭、松澤を含む9人によって「第1回 暗黒星雲計画」の儀式がψの座敷(現ψの部屋)で執り行われたが、「暗黒星雲計画」が言語として初めて公式に登場するのは"暗黒星雲計画・DNPとして"(ヴァニシングス消滅事 天然自然シリーズ6/12・1971年)である。松澤は「量子芸術宣言 四」(岡崎球子画廊・1996年)後の異星人に与えるアートを模索する中で、1971年から28年の時を経てPara GLOBE(現Circulation Art Space)での企画展「最終美術思考工房の消滅とその後」(1999年)における個展「一挙に宇宙の後 Post Universe」にて再び「暗黒星雲計画」の公転を始め、2003年に999部のみ発行された"九つの柱:松澤宥「暗黒星雲計画-見宝塔品第九」"(第3回 暗黒星雲計画)に自転する。その後、松澤の一周忌に執り行われた儀式も含め計8回の「暗黒星雲計画」が現在まで公転と自転を重ねている。
「暗黒星雲計画」とは1999年の終末に向けた憂いであった。一部への富の集中による格差の拡がり、中央集権に対する松澤の憂いであった。これは現在の憂いではない。過去の憂いである。そして、未来の憂いである。現に世界の状況は1971年の"暗黒星雲計画・DNPとして"から50年間、何も変わっていない。2021年、資本主義の終末が叫ばれながらも未だに中央集権は惰性として続いている。
その後、松澤は西沢潤一の共著「人類は80年で滅亡する」(2000年)から着想を得た「80年問題」シリーズを制作するが、これは実際のところ何年から80年なのか。松澤が提唱する人類の消滅は2222年など幾つかある。しかし仮に、1971年の"暗黒星雲計画・DNPとして"を起点に考えると80年後は2051年であり、これは2045年の"シンギュラリティ"後の世界を見据えた予言と捉えることもできる。つまり、AI(人工知能)によって人類の前史が消滅するという新世界への計画とも考えられる。松澤は1999年のPara GLOBEでの個展で"人類よ宇宙人に喰われろ"という言語作品を発表しているが、これは現在のサイバースペースでのディープラーニングからやがて誕生する内的宇宙人としてのAIとも言えないだろうか。
この人工知能に関する視点に近年、注目される暗号資産の視点を交差させると、暗号資産の思想は1980年代からの"サイファーパンク"という社会変革を目指した思想を起点とする。これは従来の一部への富の集中・中央集権からの脱却を試みる、非中央集権のブロックチェーン技術からなるDeFi(分散型金融)やDAO(自律分散型組織)として実践を続けているが、この思想は松澤が目指した憂いを消滅させる最終美術とも共通項を持つ。暗号資産において問題となるPoWによる電気使用量・Co2排出量は「80年問題」におけるCo2排出量と比較して問題の本質となるだろうか。既存の物質文明による膨大なCo2排出量はPoSに移行するイーサリアムに対して未来への正当性があるのだろうか。
私たちはこれまで小さな問題を議論している間に、大きな問題を何度も見過ごしてきた。実際は大きな問題である資本主義を光として見過ぎたのではないだろうか。暗黒星雲とは散光星雲の光によって浮かぶ影である。2022年2月2日の松澤宥・生誕100周年から222日前となる2021年6月25日、加速主義の光によって浮かぶ新たな「暗黒星雲計画・DNP」はサイバースペース・メタバースでの秘儀となる内的宇宙である。ブロックチェーンに鋳造される数多のNFTは、かつて松澤が述べた虚空間のニルではないか。私たちは過去・現在・未来、「荒野におけるアンデパンダン'64展」を鑑賞中なのである。
松澤の"最終美術"は石原莞爾の著書「世界最終戦論」(1940年)から着想を得ている。松澤は学徒動員を無断離脱して太平洋戦争の終戦を迎えた原体験があるが、その体験が後の世界への視点・平和への視点に影響を与えているように見受けられる。"人類の前史終わらんとす"最終美術は松澤が提唱した「世界蜂起」(1971〜73年)という光の裏側でずっと深く黒く輝いていた。私たちはコロナ禍において資本主義の最終戦争を観測している。これは人類への終末医療(ターミナルケア)である。ターミナルとは終点であり起点である。私たちはメタのデータに向けて両の心臓を飛ばす。
真名井良秀 / EXCALIBUR
「暗黒星雲計画実行委員会」からのお願い
本展における「暗黒星雲計画実行委員会」は、松澤と精神的な交流をされた同志からの当時のお話や、記録など、ご協力を募集しております。秘密の儀式・瞑想台・パーリニバーナ・パーリヤーヤ体・音会・最終美術思考工房美學校・世界蜂起計画・カタストロフィーアートなどに関わった方々がいらっしゃいましたら、CONTACTからご一報ください。
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